2013年11月26日火曜日

【レポート】オープンデータ・カフェ 大垣 「デザイン思考の基本を学ぶ」

1.オープンデータ・カフェ開催の概要

 「イノベーションを起こす手法はあるのか」
 「社会課題を解決し、新たな価値創出は可能か」
 今回のオープンデータカフェでは、今、世界的に注目を浴びる新たなイノベーション創出手法、「デザイン・シンキング」について学びます。 デザイン・シンキングは、Apple社のマウスをデザインしたことで知られるIDEO社、スタンフォード大学のd-school(http://dschool.stanford.edu/)などの実践で知られ、近年、ビジネス領域はもちろん、社会課題解決の領域で注目を浴びる思考方法、手法です。
 今回はオープンデータを活用した社会課題解決とビジネス創出へ向け、デザイン・シンキングを実践し、数々の新規事業の創出に関わっている山口高弘氏をお招きして、その基本的な考え方を理解することを目指します。

 日時:平成25年11月26日(火)18:00~21:00
 会場:ドリームコア 2F メッセ(大垣市今宿6-52-6)
 主催:株式会社CCL 参加費:無料
 出席者数:15名(うちCCL参加者:9名)
 参加申込:リンク先フォーム(フォームメイラー)に必要事項を入力していただきました。 当日のプログラム:
18:00-18:10 趣旨説明 (株)CCL 取締役 須藤 順 
18:10-18:30 キーノートスピーチ 「社会価値イノベーションの方程式―世界を変えるイノベーションはどう生み出されたのか―」 講師:山口 高弘 氏(GOB-Lab Director /(株)野村総合研究所・上級コンサルタント)デザインシンキングの基礎概念、特徴を理解していただきます。 
18:30-20:00 デザインシンキング・ワークショップ ※デザイン・シンキングのプロセスを体感してもらい、参加者が自らの組織でデザインシンキングを導入することを前提にしたワークショップを行います。 
20:00-20:30 デザイン・シンキング・ファシリテーションの作法 デザイン・シンキングを活用したワークショップを運営するにあたってのファシリテーション手法を体感したワークショップを振り返りながら整理していきます。 
20:30-21:00 フリー・ディスカッション(山口 高弘 氏&須藤 順) デザイン・シンキングの基礎概念の理解とプロセスの体感を通じて得た気づきや疑問についてフリーディスカッション形式で共有していきます。
   
登壇者紹介(敬称略) 山口 高弘 氏 プロフィール
 1977年生まれ。同志社大学大学院卒業後、野村総合研究所入社。現在、GOB-Lab Director /(株)野村総合研究所・上級コンサルタント。GOB-Labでは主に若い世代がイノベーションに挑戦するためのマインドセット創り、考え方、方法論、事業化を進めるためのワークショップ、キャンプ、講演等を実施している。野村総合研究所では、B to Bで企業のイノベーション創出支援コンサルティングに専ら携わる。直近では、7日間の合宿形式で社会課題へのアイデアを形にする「日本を創り継ぐプロジェクト」のアドバイザーも担っている。主な著書:「2015年のサービス産業」(東洋経済新報社)、「壁を超える技術」(共著・日経BP出版センター)。審議会・委員等:内閣府「若者雇用戦略推進協議会」委員、産業革新機構「イノベーションデザインラボ」委員。

 2.オープンデータ・カフェの講演内容

 今回は「デザイン思考」の第一人者である山口高弘氏を大垣にお招きして、「デザイン思考」を参加者の皆さんに体験していただきました。 今回はオープンデータカフェでも自社推薦者のみ招待という限られた参加者で行いました。また試験的にクローズドにしてUSTREAMによる動画中継も行ないました。

 キーノートスピーチ 「社会価値イノベーションの方程式―世界を変えるイノベーションはどう生み出されたのか―」 

最初の山口氏より「イノベーションとは何ですか?まったく新しい体験か、すでにあることを違ったやり方で実現できることです。」という問い掛けからはじまりました。 過去の事例として蒸気機関車やiPodがどうしてイノベーションだったかを説明されました。 イノベーションには「デザイン」「クリエイティビティ」「実行」の3つの要素から成り立ちます。 「デザイン」は共感(その人になりきるまでその人を理解する)から始まります。 例えば、iPodはスティーブ・ジョブス氏が、友人が通勤時間が苦痛な時間だと言うのを聞いて、それを楽しい時間に変えたいという思いから始まりました。 ヒートテックはユニクロ開発者が、友人が冬に着膨れしているのを見てかわいそうだ、と思ったことから始まりました。
共感したら次はユーザーの願望を定義します。 定義の例として、ヒートテックでは「冬であっても我慢せずおしゃれしたい」、胸を小さく見せるブラでは「人として見られたい」でした。 「クリエイティビティ」は人が思い込んでいるバイアスを超えなければなりません。 バイアスの例として、蒸気機関車の登場以前の人の今の移動手段(馬)より早い手段は「早い馬」としか考えられませんでした。
「実行」はプロトタイプです。 例としてWiiコントローラでは1000回以上試作を重ねたそうです。

 デザインシンキング・ワークショップ 

今回のワークショップのテーマは「旅」と決められ、山口氏のファシリテーションで4つのイノベーションプロセスを体験しました。
 まず2人1組ペアワークで、テーマ「旅」に関するこれまでの経験(嬉しい経験と良くなかった経験)、今の経験、未来の願望をシートに書き込みました。(5分)
 そしてお互いの経験の中から、注目すべき経験をひとつピックアップします。 そこからペアの経験から質問を繰り返すことで、その人も気づいていないインサイトを導き出しました。
 インサイト導出とは徹底してユーザーの立場に立ち、本当の目的を引き出すことです。こうであって欲しいという願望は入れません。
 4人一組のチームで1つのインサイトに絞り込みました。
 次のゴールはアイデア発想です。
 アイデア発想はクリエイティビティの有無ではなく、方法論を知っているかどうかです。 発想法には足し算(全く関連性のない二つを足し合わせる)・引き算(小さくする・要素を減らす)・掛け算(ある価値を別の分野に適用する)・割り算(ものごとを裏側から見る・対極のものを考える)があります。

 アイデア発想レベル1・アイデア量産
 まずは個人で目的を実現するサービスをポストイットに書き出しました。(5分)
 次にチームで共有しさらにアイデア発想しました。(5分)
 チームで最も優れているアイデアと二番目に優れているアイデアを選びました。

 アイデア発想レベル2・切り口を統合する
 二番目に優れているアイデアから切り口(提供価値)を抽出しました。
 次に最も優れているアイデアと、二番目に優れているアイデアから抽出した切り口を掛けあわせて別のアイデアを発想しました。 この中で「今すぐ事業化したい」と思えるアイデアを選びました。

 アイデア発想レベル3・切り口を転換する
 ここで現在選択したアイデアを左下にグラフを書きます。
 今のアイデアの対極の前提でアイデア発想して右下に書き入れます。
 今のアイデアの切り口と対極の切り口でアイデア発送して左上に書き入れます。
 最後に今のアイデアと切り口も前提も対極のアイデア発想して右上に書き入れます。

 最後にどれかひとつに決定し、アイデアが実現した場合のユーザー体験を紙芝居(4コマ漫画)で表現します。

 デザイン・シンキング・ファシリテーションの作法

 今日行ったワークショップを自分の組織に持っていったときに役立つのがファシリテーションです。
 ファシリテータの仕事は問題定義に導くことです
。ただし、自分から引っ張るのではなく、創造的アイデアが出せるように問いかけをします。 ファシリテータはすぐに問題を解こうとしません。まずチーム全体に問題は何ですか?と納得させます。
 ここで問題定義の3つのレベルを教えていただきました。
 レベル1. 問題を分析する
 レベル2. 問題再定義 (目的にさかのぼって問題を捉え直す)
 レベル3. 目的再創造 (目的を前提と捉えずより良い目的に捉え直す)
 後は今議論がどういう構造をしているかを捉える能力も必要と教えていただきました。

 3.考察

 今回は時間の関係で、プロトタイプ作成まではできませんでした。すべてのステップを経験すると2日間かかるというのも納得の濃密さでした。

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