2014年2月27日木曜日

インターナショナル・オープンデータ・デイ 2014 in 滝沢市 を開催いたしました

1.開催概要

 世界同時開催のオープンデータ普及啓蒙イベントである International Opendata Day」の滝沢地区版として、「オープンデータを知る」「事例紹介: 岩手県内自治体の情報公開に関する取り組み」「オープンデータを作る」の3本立てで開催いたしました。



 公共データを広く公開・利用するオープンデータへの注目は世界的に高まっております。オープンデータは、従来の行政主導の地域政策ではなく、住民や地域企業らも一緒に考えていく、新しい社会の形成が期待されています。そこで、オープンデータに関する知識を身につけ、オープンデータによってもたらされる社会を考える場として、世界同時開催イベントである「インターナショナル・オープンデータ・デイ」を滝沢市で開催し、オープンデータの普及啓蒙を行い、さらなる発展への機運を高めました。
 なお、開催地の滝沢市は、20141月に市制を開始した最も新しい市で、これまでは「住民日本一の村」として知名度が高かったですが、これからは「住民自治日本一」を掲げて新たにスタートを切りました。この考え方は、オープンデータが目指す社会であり、このたび開催地を滝沢市とし、担当者の方にもご講演をいただきました。

 本イベントは、3部構成で開催いたしました。第1部では、「オープンデータを知る」と題し、弊社がこれまで取り組んできたオープンデータに関する調査や研究をまとめ、はじめてオープンデータに触れるかた向けに、オープンデータの定義、歴史、事例、技術を伝えました。第2部では、「事例紹介: 岩手県内自治体の情報公開に関する取り組み」と題して、岩手県庁と岩手県滝沢市役所の担当者からご講演をいただきました。第3部では、「Linked Dataを作る」と題し、岩手県立大学のLinked Data研究者より実際にLinked Dataの作るワークショップを実施いただきました。

日時:2014222() 13:30-18:00
会場:岩手県立大学共通講義棟206講義室(岩手県岩手郡滝沢村滝沢字巣子152-52
主催:株式会社CCL、岩手県立大学ソフトウェア情報学部学生有志
参加者数: 25

招待講師:
- 臼井 宏 氏          (岩手県庁政策地域部地域振興室地域情報化担当)
- 熊谷 和久 氏      (岩手県滝沢市役所企画総務部企画総務課)
- 清水 小太郎 氏   (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科博士前期課程)
- 高屋敷 健 氏      (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科博士前期課程)

. 1部「オープンデータとはなにか?」
 弊社におけるオープンデータの取り組みについて紹介を行いました。紹介は、2つのテーマで構成され、はじめに弊社代表取締役佐々木より、株式会社CCLにおけるオープンデータ事業についての紹介がありました。続いて、弊社プランナーの小松より、「オープンデータとはなにか?」と題して、昨年夏からのオープンデータ事業を通じて得られた情報をまとめたオープンデータ初学者向け発表を行いました。内容は、第1回オープンデータ・カフェ 盛岡で報告した資料(詳細は、オープンデータ・カフェ盛岡「オープンデータとはなにか?」報告資料をご参照ください)に加えて、最近話題となった日本政府のデータカタログサイトである「data.go.jp」やオープンデータ活用事例に事例を加え、さらにオープンデータ・カフェなどの活動報告を加え、再構成したものです。
 この講演によって,オープンデータに初めて触れる参加者への基礎を理解いただけた.またすでに知識のある参加者にとっても再認識する機会となったと思います。

3.第2部 「事例紹介: 岩手県内自治体の情報公開に関する取り組み
 岩手県庁ならびに岩手県滝沢市の取り組みについてご紹介いただきました。
 はじめに岩手県庁臼井様より「岩手県庁におけるオープンデータの取組について」と題して、岩手県庁がオープンデータを推進していく立場であること、また情報に対する視点を従来と今後に分けてご紹介いただきました。



 岩手県として「オープンデータ」の普及に向けて今後必要となる視点として次の3つが挙げられました。1. データを二次利用出来るようにする、2. 営利を目的とした二次利用を広く認める、3. 機械判読により適した形式で公開する。また、データ公開の進め方についても言及があり、まずは活用ニーズの高いデータを公開していきたいとのことでした。それにあたって、データを利用する方からどんなデータがほしいのかを気軽に問い合わせが欲しいというお願いが参加者にありました。
 発表資料は、翌々日にスライドシェア(slideshare.net)に公開され、Facebook Twitter 上でも反響があり、2月末現在600名を超える方に閲覧されました。

 次に、滝沢市役所熊谷様より「滝沢市の自治に関する取組について」と題した発表がありました。滝沢市は、行政運営を経営ととらえており、住民が主体的に公共的課題を解決し、自立した社会を作ることを掲げていることが紹介されました。


 続いて、情報公開の取組についてご紹介があり、15年近く前から、庁内の効果的な電子情報管理が実施されていることが示されました。加えて、平成17年度に策定した第5次滝沢村総合計画(〜26年度まで)では、毎年住民にアンケートを実施し、総合計画に対する市民の想いの変化を「めざそう値」として公表しているそうです。次期滝沢市総合計画においては、幸福度合いを測る新たな指標を用いて、さらなる住民主体の地域を目指して活動を進めていくとのことでした。このようななかで、オープンデータによる市民活動の仕組みの構築は必要とされているという言及がありました。


4.第3部 「オープンデータを作る
 第1部、第2部で学んだオープンデータに関する知識をもとに、オープンデータを作るワークショップを、岩手県立大学(滝沢市)で Linked Data を研究する清水氏、高屋敷氏から開催いただきました。



 はじめに、清水氏から Linked Data に関する紹介がありました。Linked Data は、オープンデータを支える技術基盤のひとつであり、現在普及しているWebの発展形であるという説明がありました。具体的な例として、「本田圭佑がACミランに所属している」という情報は、Web上にたくさんあるが、これをコンピュータが理解することは非常に難しいため、トリプル(主語、述語、目的語: この場合は、「本田圭佑」「所属する」「ACミラン」となります)からなる情報をメタデータとしてデータに付与することが例としてあげられました。この記法に従えば、コンピュータが意味を読み取りやすく、現在研究されているエージェント(人工知能)にも活用されるため、オープンデータでの行政データ公開においてもこの仕組みで公開することが望ましいとのことでした。
 続いて、高屋敷氏から「Linked Data を作る」というテーマで、Linked Data の公開サイトのひとつである Linkdata.org にデータを公開するワークショップが開催されました。参加者が持参したパソコンで、Linkdata.org にアクセスし、表計算ソフトを利用してデータを作成しました。今回のワークショップによって、盛岡市、大槌町などのLinked Data が増えました。

5.全体を振り返って
 今回のイベントでは、これまでのオープンデータ・カフェに比べて多くの方に参加いただきました。内容も、オープンデータの入門向けであることに加えて、身近な事例も取り扱ったためオープンデータの普及啓蒙に寄与できたと感じます。
 一方で、民間企業からはオープンデータがどうビジネスに結びつくのか、これを新規事業として扱うにあたり助成金などはあるのかといったご質問がありました。この点については十分なフォローはできていないと思いますのでさらなる調査・研究を行い、新しいご提案ができるように進めていきたいです。さらに、データ公開と利用においては、主にデータを公開する側である行政は、どのようなデータを公開すればいいのかわからず、一方で使う側の民間企業・学生などは、行政がどのようなデータを保有しているかがわかならいという状態であり、双方がお見合い状態であることが課題のひとつであることがわかりました。この点を、ハッカソン、アイディアソンやオープンデータ・カフェなどを通じて双方の距離を縮めていく企画を今後実施していきたいと思います。


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